ウェストポーチの汁男。

(お徳用ボックス) 野菜生活100 オリジナル 200ml×24本

• 出版社/メーカー: カゴメ
• メディア: Grocery

医者に行った。
定期的に通うと待合室に憶えのある患者ができたりする。
話したり友好を深める訳ではなく存在の認識である。
待合室にいることで気付くひともいれば
特徴が顕著で病院を離れた予期せぬ場所で見かけても
「お！」などというひともいる。
で黒ジャージ黒ウェストポーチ黒キャップ。
ひとの顔を憶えるのを苦手とする私であるが
彼であればどこで遭遇したとしても大抵判ると踏む。
時間を内訳したなら九割はくちゃくちゃとガムを噛んでいる。
数十人がいる待合室でそれぞれが何らかの音を発しても
その雑音に交わることなく独自の波長を保つ。
残り一割のうち三分は周囲との軋轢である。
ガムは他への気配りが足りない代表例で一事が万事
誰かを不快にさせては罵倒されたり愚弄されたり
捻くれた謝罪をしたりしている。
そして残り七分が飲み物の購入とその消費に該当する。
この百分率の七分は時間の七分とは多分に異なる。
彼の持ち時間の７％を費やす飲み物関連行動は
他の９３％と同程度に目を引くものがある。
待合室へはひとつの紙パック飲料を持ちながらやってくる。
これにストロを刺すとガムの合間を縫ってジューッとひと息に
紙パックを真空の域まで吸い尽くす勢いで飲む。
平に伸びた容器を少し眺めてみたりしてから
次の飲み物を買いに行き戻ってきては先の芸当を披露。
どれほど飲むのかってくらいこれを繰り返す。
ジューッを専門としており、缶、ペットボトルは買わない。
そのため「くちゃ」が止まったと思うと「ジューッ」なのである。
このように少し不器用ではないかとも思える彼でありながら
同時にふたつのことをこなしたりする。
腰掛けている間ずっと続く酷い貧乏揺すりだ。
見た目には地味な彼の目鼻立ちを私なりに記憶した。
できるだけ離れた席に座りたい。

二十二夜 / 晴れ

(お徳用ボックス) 25種類の野菜 1日分の野菜 200ml×24本

• 出版社/メーカー: 1日分の野菜
• メディア: ヘルスケア&ケア用品

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