愚図愚図でヨロヨロなピンポンダッシュ。

玄関先に二人の女性が立ち呼び鈴を鳴らす。
保険の外交か宗教の勧誘といった風情で出て行くまでもないと放っておいた。
少ししつこいくらい呼び鈴を鳴らし続けるので様子を窺うと
「いることはわかっているのにね」「往生際が悪い」などと言っている。
いかにも時間の無駄になりそうだから出ないでいるに過ぎないものを
借金取りに居留守を使っているかのような物言いだ。
ドアフォン越しに「ウー」と唸り「ワン！」と吠えてみた。
返答はなく二人は顔を見合わせている。
何だ応じてみれば無視かと「ワンワン」吠えたまま玄関の扉から飛び出した。
さあ、どうぞと黙るが彼女たちは二歩ほど後退るとくるりと向きを変え小走りに去って行く。
顔を合わせたのに用件を述べることなく消えてしまい正体不明である。
来たことはわかっていて去り際が悪いのは知っている。

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