SSブログ

ガラスの海、四つの生き物。 [愚]

Friday , 2nd April 2010 gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

渡英が超短期滞在となったのは
同行者の都合が多大に影響したのであって
大抵のひとは企業やなんかに雇われていたりして
休みを貰わねばならなかったり
家庭にあれば任された家事があったりもする。
私でさえずっとずっと留守で構わんという感じでもなく
まっとうな市民生活を送る同行者ともなれば
仕事を休み家を空けるため
並大抵でない苦心をしたのだった。

もっと自由の利く道連れを選ぶ方法もありそうなものだが
数日にしても共に過ごす相手が誰でもいいということはなく
では厳選せんと張り切っても私は極端に友人知人が少ない。
そうした諸条件を以て最善のひとを代表選手に選抜したが
試合に勝てる気がしない。
何の試合に出る予定もなかったのだけれど。

そんな具合に一割くらいは気が合うが
残り九割は全く噛み合わぬひとと旅に出た。
噛み合わぬが気に食わぬへ化けるに時間は要らない。
九割がすれ違えば当然なことと言える。

ま、互いに大人なので我慢に我慢を重ね
難局をどうにか乗り切ろうと試みるのだけども
最後の最後にはどうにもこうにもな領域に踏み込んでしまい
君が死のうと生きようと関知せぬなどと言ってみたりした。
多分に大人げない大人なので。

旅行を振り返れば楽しいことしか思い浮かばず
極少の友人知人をひとり失くしながら
そんなこともあらあねなんて気楽極楽に過ごして七日
決別の相手から携帯に着信があって
気付けば私はそれらをことごとく受け損なっているのだった。
あん?このひととは絶縁したのではなかったか。
それをこう幾度も電話してくるとは一大事か。

死のうと生きようと知らぬ筈のひとであるが
心配はしようとしてするものでなく
私の意思とは無関係に案じる気持ちがはたらく。
折り返した電話に応じぬこともまた気掛かりである。
いったい、何があったのだ。

ようやく連絡がついたのは午前2時のことである。
どうしたのだと訊くより先に携帯電話から聞こえてきたのは
「満開の桜って年に一度じゃん。土曜日、花見に行かない?」
って安堵はしたけれど拍子抜けもいいところだ。

いや、あなたさ、それ、午前2時に言うことか。
我々は一生関わりを持たぬことになってはいまいか。
桜が咲こうと海明けしようと王たちが戦いに出ようと知るか。
そう言っても良かったが
「土曜日、医者なんだ」と答えた。
何か、悪いねって感じで。 2010-04-25 21:15 更新
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。