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胡瓜になって冷蔵庫で。 [愚]

Wednesday , 13th October 2010  gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

嵐がおさまるのを待つとき
布団を頭から被り目を閉じ耳を塞ぎ息を潜める。
暫くして嘘のように青い空が現れるが
待つ間被る布団には不快苦手苦痛不安窒息諸々が詰まり
ただ時が経つのを待つことは然程楽ではない。

では何かしていれば楽かと言えばそうとも限らず
することによってはそれもやはり苦痛である。
昔の独裁国では囚人に全くの無意味と分かる作業を与え
精神的に追い詰めるなんてことをしていたと聞いたことがあるが
ふたつのコップの間で水を満たしたり空にしたり
ただただ水を移すだけというような作業の繰り返しには
働き者怠け者空け者、誰であっても疲労する。

同居人父死亡に関する事務手続きの残り分について
同居人母宅隣接の家に住むジャイ子へ引き継ぐ。
私は1000km先に帰る家を持つのである。
面倒な部分は既に済ませており残るは極めて簡単なことながら
ジャイ子はいちいちノートへ書き付けてみたり
同じことを掛け値なしに十度訊ねてみたり
「夜も眠れず悩んでいます」と必要以上に深刻だったりする。

その都度「書いておくほどのことではありません」とか
「これで七度目の説明です」とか「気楽に」などと言いつつ
訊ねられるまま手取り足取り揺りかごから墓場まで
なんてことが朝となく昼となく夕となく数日続き
これ以上の繰り返しは全くの無意味と宣言せねばならなかった。
はっきりそう告げても
二十分もするとジャイ子は隣家から
じゃりじゃりと砂利を踏む音を立て質問に訪れるのだけれど。

こうした事務手続きにエキスパートがいるのか知らぬが
私はそんなものではないし
そんなものでなくとも手続きは出来る。
そう言い換えてみてもやはりジャイ子のじゃりじゃりは続いた。
単純な話がこうも面倒となるのは不可解の極み
私かジャイ子いずれかの或いは双方の頭がおかしいとの結論に至る。

そんな結論を得たところで嵐は未だ頭上に留まり
何もせず頭から布団を被っているのが楽、ずっとずっと楽
なのだけれど被る布団は蜘蛛の巣よりも目が粗くはかなく
不快苦手苦痛不安窒息がこもらぬ代わりに
蚊帳ほどの役も果たさず
無意味じゃりじゃりの刑は続いて困憊。 2011-07-31 05:30 更新

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