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狩人は皆、雉の居場所を知りたがる [日々の暮らしで思うこと]

Tuesday,17th November 2020

金曜日の昼過ぎ、犬の散歩の途中であるのに、ふらりとクルマの販売店へ寄った。出来そうなときにと思ってずっと出来ずにいたが、このときは迷うことなく店へ入った。いくつかある接客用テーブルのひとつに客か店の関係者か判然とせぬひとがひとり書類と格闘していて、こんにちはと声をかけるも返事がない。それではと部屋の端にある衝立の向こうへこんにちはと言ってみた。話し声がして何人かひとのいる気配だ。徐々に声を大きくしながら幾度かこんにちはと言ううちに先のテーブルのひとが気付いて衝立の向こうのひとを呼んでくれた。関係者だったのか。

着席を促し名刺を差し出すひとへ座るより前に、買うか買わないかで言うと圧倒的に買わないんですけど仕様書と見積書を貰えますかと問うと呉れると言うのでくださいと頼んだ。直ぐに貰えるものと思っていたらオプションのひとつひとつをそれは要りそうだとか要らなそうだとか要らないと思うけど一応入れてほしいとか答えなくてはならず時間がかかる。店先の柵へ繋いだ犬が時々吠えるのを指して犬を待たせているのでと急かすけれど、犬はいいですよねなんて返事で遠い目をする。

頷くことすらしなかったが、いえね、私の家にも犬がいたんですよと思い出が語られた。見積書ではなく犬の話を聞かせてと頼んだかのように語られた。それは氷の心であっても無碍に出来ない悲しい話だった。途中で語り部の手が止まっており見積書が全く進んでいないことに気付いたけれどもう急かす訳にはいかなかった。込み入ったことは話すのも訊くのも侵犯のように感じる私は初対面で随分踏み込んでくるひとだとは思って、どうして話してくれたのか理由がわからない。話して気が楽になったというのであれば聞いた甲斐がある。

今のクルマは乗り始めて16年とか17年とかで離れ難いのだけどエアーコンディショナーが機能しない。年々夏の暑さは酷くなっていて私は我慢するとしても犬を乗せられない。夏の間にも犬を病院や美容院へ連れて行く用事はあって昨夏今夏はPさんの運転するPさんのクルマ頼りだった。部分的に塗料が変質しておりバンパーにへこみがあり後部座席のドアは外からでないと開かないなどして来月の車検に迷いがある。とは言え愛車、十中八九車検を選ぶだろう。「来たるべき食糧難のための貯蔵です」という台詞が大島弓子の作品にあって、何かと思い浮かぶ一節で、それがまた思い浮かんだ。そうかいつか来る日の準備としてディーラーへ行ったのかと他人事のように思う。

土曜日はPさんの運転するPさんのクルマで食料品の買い物に出かけた。おやつがあると食べ過ぎてよくないから買わずにおこうと思っていて肉と魚と果物と野菜に使ったのと同じくらいの金額をおやつに使ってしまった。更にはPさんに甘いものを買ってあげると言われて断らず、虹色(ピンク黄緑青紫の五色)のカップ入り綿菓子を買ってもらった。店のひとは開けなければ2週間持ちますと言い、私の忍耐を試す使者のよう。誰が寄越すか知らないけれど。

日曜日は私のクルマを私が運転して隣町の公園と農産物直売所へ出かけた。犬と公園を散歩したあと農産物直売所で薔薇と林檎と柿を買った。林檎は前回と同じ青森産トキを買った。平台へトキを並べるひとがいたので、美味しいトキを見分ける方法があるか訊くと、よいものを選んで置いているのでどれを選んでも美味しいということだった。こんな会話はあちこちで交わされていると思うけれど、言い方や表情に嘘のない気がして、安心して何も見ずに手の掴んだものを買った。林檎を見分けられなくても、ひとを見る目はあるように思っている。

ガス給湯器が壊れ浴槽に水を溜め追い焚きで沸かして凌いでいたが、最近になってとうとう全ての機能が駄目になった。1月15日まで有効という給湯器安売りのチラシを冷蔵庫の扉へ貼り、注文の電話をする気になるのを待っている。Pさんのところのシャワーを自由に使うよう言われており、不自由さに欠け、給湯器注文の優先順位は低め。犬を連れてPさんの家へ上がり込み、犬をPさんのキッチンに放ちシャワーをばーっと浴びて、だーっと犬と犬と私で走って自宅へ帰り濡れた髪を乾かす。一連の流れが楽しい。

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