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尼寺へ行け、雨靴で [犬のこと]

Friday, 2nd July 2021

月初めには犬にフィラリア予防薬をあげる。忘れぬよう一日にあげましょうと獣医に指導されるので日本中の犬の多くが一日に予防薬をもらうのではと思っているけれど確かめてはいない。犬という犬が予防薬を飲み込む図を思い描くだけのこと。フィラリア予防薬はこれまで六月から十二月に飲ませるものだったが、私の通う動物病院では今年、五月からの服用に変わった。温暖化で五月にも蚊が出るためである。気候の変わり具合はこんなところにも遠慮なく影響するのだった。

フィラリア予防薬はノミ、ダニ、お腹の寄生虫の駆除もできるオールインワンを謳う薬で、昨年まではビーフ風味で食いつきがよいというネクスガードスペクトラを使っていたけれど、全く食いつかぬので栓なくキリクリームチーズで包んでいて、だったら錠剤でよいと思ってクレデリオプラスに変えた。少し値段が安くて得したような気でいると白犬が体重を増やし2.8kgまで対応の薬なのに2.75kgくらいになっており、浅薄にも今年の分の薬をまとめ買いした私はもう体重が増えませんようにと願うしかなく、ネクスガードスペクトラであれば1.8kgから3.6kgまで対応なので来年は元に戻したい。切実に減らしたいのは私自身の体重であるのは置いておいて。

今年の十月で十歳になる犬は徐々に老化していて、晩春辺りにごく初期の白内障との診断を受け、ピレノキシンという点眼液を使い始めた。これは治すのではなく進行を防ぐためのもので、効きめがあれば生涯使い続け、悪化したときには薬を変えるか手術することになるらしい。頼りになるのかそうでないのか判然とせぬ薬ながら、一日三回の点眼ではじめて効果に期待できて、二回では全く何もしないのと同じという癖がある。そして保管時は容器を立てて置かなくてはならず、使用前にはよく振らなくてはならない。犬のためと思えば何と言うこともないけれど効くかあやふやにしては容器を寝かせると駄目になる液体だなんてちょっと生意気な気がする。

これも老化ですかと獣医に聞いたのは白犬の毛の変色について。白犬と言っても血統書にはクリームと書かれており、幼い頃には背中に十字の色濃い部分があった。十字はやがて薄れて周りの毛に紛れ、ここ何年かは全体に白っぽく、膝裏など濃いところが部分的にある状態で落ち着いていた。それが今年に入った辺りだろうか、尾の付け根に濃い色が出始め、そこから背にも尾の先へも広がり、今は後頭部から背中を通り尾の先までが濃い色になっている。獣医は老化とも老化でないとも答えず、毛をくしゃくしゃ揉んだり、かき分けて皮膚を見たりしてから、痒がらなければ大丈夫でしょうと言った。耳を掻くのは時々見るけれど背中を掻いているのは見たことがなく、孫の手でもないと届かぬのではと思ったけれど、今のところ大丈夫なのだろうと理解してわかりましたと答えた。答えたあと地面に背中をこすりつける犬の映像を思い出して、痒がらなければの意味を悟った。白犬はジャーキーなんかを器用に掴んでかじるので孫の手だって使うか知れぬと思いながら。

長年通う犬の美容院は駅ビルの店子、ペット用品を扱うペットショップ併設で、ペットショップのひとたちは会計に慣れていて手際がよいのに比してトリマーさんたちは犬の扱いは上手いけれど会計はあまり芳しくない。支払いは毎回二万円を越えるのだけど、五月は18000円くらいで、おやつを買わないと随分違うことと思っていたら、駐車場へ向かう途中で戻ってほしいとの電話があって、一割引するところを三割引で会計してしまったのでやり直したいと言うのだった。かかった料金を踏み倒すつもりもなく、やり直しに応じたけれど、気軽に昇降出来る階でないためエレベータで行ったり来たりせねばならず閉所がつらかった。

行ったり来たりせず済ませるからねと待ち構えた六月の会計は6800円で、バビロニアとモンゴロイドの二匹ですがと言うと、それが何かという澄まし顔で、いつもと全く違う金額ですけど大丈夫ですかと踏み込んでやっと、んんんと考えて間違いに気付いてくれた。正しい金額は20700円であった。おやつを買わずに。どう計算したら6800円になるのか謎だ、七割引だろうか。トリマーさんからは耳の後ろにもつれ毛があったとかバブルバスでうたた寝したとか施術中の様子を手紙で知らせてもらうのだけど、獣医では悪名高い拙宅の犬について、今日もとってもおりこうさんでしたと毎回必ず書いてくれて、もらうたび気分が良い。私がトリマーさんについて手紙を書くとして、とってもおりこうさんでしたと書く気がなく恐縮だけれど。

私がPさんの台所へ寝泊まりしているばかりに犬もPさんの台所で寝泊まりするのだけれど、シートを多めに敷いてもシートでないところへ用を足すことがあって、このところPさんは仕事から帰るたび臭い臭いと何度も言って、申し訳ない気持ちと籠池夫妻かよという気持ちが同時に生じて、犬へ感情的に苦情を言うので直ぐに籠池夫妻かよの気持ちが勝って、犬に申し訳なく思って終わる。躾や生態については諸説あって絶対とは言えぬものの、叱ると排泄を我慢することがあり健康に悪いと見聞きしており、失敗は人間が解決するもので、百発百中シートにせぬだろうし匂いがしても仕方ないと思っていて、怒りをぶつけるPさんを理解できない。誰にもよいことのない暮らしで、方向性の違いを理由に解散すべきではと思う。

心も身体も健康に近付けて弱気になるあれこれを捨て去り、クルマで犬と犬と私で遠出したい。いつか海まで行くことが出来たらと思う。どんなにか幸せだろうと思う。犬と犬と同居人と私で海へ出かけると、いつもいつも楽しかったので。

犬がとってもおりこうさんでしたと書かれた手紙をもらう、いつか海まで行くことが出来たらのふたつを気分をよくするリストへ加えたい。
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