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猫のあしあと / 町田 康 [町田さん]

猫のあしあと

猫のあしあと

  • 作者: 町田 康
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本
それはそれは苦労して手に入れた。
どれほどの苦労かと申せば
仲間由紀恵が上田晋也になるくらいの。

夕刻、町田さんサイン会(池袋リブロ)に向け家を出る。
予想外に道路が混み予定のロマンスカに間に合うか危惧するも
駅へ行ってみれば人身事故により全線一時間程度の遅れという。
予定の電車が遅れてしまってはサイン会に間に合わぬ。
かと言って、みっしり人間を詰めて牛歩する普通列車に乗る器ではない。
駅員に相談すると一時間遅れで着く別の特急に乗ってはと言う。
なるほどとそれに乗ると牛歩よりは早いかもしれぬ程度に進んでいく。
寒さを考えなければ自転車のほうが余程早いに違いない。
どうにか間に合いそうな時刻に新宿に着くと気が遠のく。
この時間以降のロマンスカは運休になっていたのである。
帰り道が確保できぬままサイン会に行く。
開始一時間前待機を常としてきたが遅れをとった。
それでも順番は確実に回ってきて
ちょっと話したり笑っていただいたりした。
握手の直後、手を洗う事態に陥ったのは惜しかったけれども
大変幸せな時間を過ごしたのだった。
さて、帰りはどうしたものか。
宿泊施設の利用も考えたが空室はなかなか見つからない。
そいじゃって書店のある池袋から東京駅へ行ってしまい
のぞみで新横浜へ向かう。途中、品川で降りそうになったりしながら。
新横浜に着いてしまえばこっちのもんなんて考えていたけど
横浜線は結構混雑していて発作はともかく乗り物酔いを起こす。
自己嫌悪しつつエチケット袋やらハンカチやら万一に備えはじめると
ぎゅう詰めの電車に隙間ができるから不思議。
汗びっしょりの身体に風を感じるくらいの広めの空間が用意された。
そうした協力も得て途中下車せず目的の駅まで行き着く。
特別扱いとはいえ通常では考えられぬ満員電車に乗ることをして帰宅。
一息ついたところで町田さんにご署名いただいた本を開いてみる。
わがままを承知でお願いしたのであるが
町田さんのご署名には「ダイジョウブ!」と添えられていて
実際ダイジョウブだったのが非常に嬉しい。
そこに事故を起こしたのは誰だなんて気持ちはなかった。

僻地に住み特急列車指定席以外に乗ることのできぬ者の
他人から見たらどうということもない労が報われた日。

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