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化け猫 [愚]

二階の窓硝子越しに道端の猫へ「にゃあ」と声をかける。
猫は暇だったのかこちらを見上げる。
少し見つめあったかと思うと脇見をするので「にゃあ」を繰り返す。
そのたび猫は律儀に視線を戻し
首を傾げてみたり目を大きくしたり細めたりして面白い。
気紛れといわれる猫であるが十分近くも相手をしてくれた。
不思議と穏やかな気分になる。
だからということもないが猫や鳥などを見ると話しかける癖がある。
どう聞こえるのか知らぬけど彼らの声を真似て
「にゃあ」「ぴー」「かあ」と様々な言葉を駆使して。
草陰に猫を見つけた。
灰色をした少し大きな猫。
さあ話しかけようと思う間に大きさが二倍くらいになる。
二倍になったのは立ち上がった老婆で
私が「にゃあ」を発する寸前のことだった。
「にゃあ」と言ってしまっても良かったのだけど
老婆は返答に困ったかもしれない。
或いは妙に足早にさせてしまったりとか。
運良く相手をしてくれて老婆と私で「にゃあにゃあ」やって
理解の無いひとびとに不気味がられたりとか。

下弦の月 / 曇りのち雨

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