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オルゴオルの犬の尾、折れて。 [ずっと、ずっと、前のこと]

ヒロ君とは以前勤務していた会社で互いにいかにもヒヨコという頃に知り合った。
私にしては珍しく気が合い、昼休みはいつもふたり馬鹿話で盛り上がっていた。
つまらぬ仕事も彼を笑わすために出社しているようなもので彼が退社を決めたときは落胆した。
最後の日は寂しくて駐車場まで見送る。夕焼けを背に歩きながら、何か、しんみりしていた。
私が「手紙、書くよ」と言うと「照れるから、やめてよ」などと言う。
「いらないのか、手紙」「な訳ない」「返事が面倒なら百通届いたら返事書きなよ」「うん」
最後の親友かも知れぬと思っていた彼から返事が来たかと言うと、来なかった。
筆まめを誇る私が送ると言いながら実際送ったのが絵はがき1枚では責める訳にもいかない。
それでも楽しかった日々の記憶と奴からもらったオルゴールは残っている。どこかその辺に。

同じ頃、ヒロ君と同じ名でヒロ君と呼ばれたがった友人をウエキバチ或いはハチと呼んでいた。
ウエキバチとはライブに出かけたり、悩みを相談したりして、そこそこの友情を感じていた。
彼の身内に不幸があったと聞いたとき、弱い面を知っているだけに打ちひしがれている姿が
容易に想像できたが、だからと言って連絡をとるのはためらわれ、結局何もしなかった。
友人だったときから時間が経っているだけでなく最後に会ったときのことが気まずかった。
「よお!」と声をかけてきた彼と向かい合い、顔と顔の間が30センチ以内に近づいて数十秒
私が言ったのは「誰だっけ?」で、会わずにいたのは忘れるほどの月日とは言えない。
信じられぬといった表情のウエキバチの顔はただごとじゃなかった。
友情はあっても、薄情では仕方ないって話。

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