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手紙を失くした伝書鳩。 [愚]

Tuesday , 21 july 2009 gremz 食物連鎖 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

過日というのは一昨日、19日のことなのだけれども、ひとに連れられて森へ出かけた。
自室にいて飽きることは滅多にないが、クルマの座席へベルトで固定されていたなら
何ら苦労をせずに見慣れぬ景色を眺めることができてしまう訳で
普段と異なる場所で外気を吸ったり吐いたりするのも一興、おとなしく固定されてみる。

よく知る道から、全く知らぬ道へと進み、いつの間にか暴走車は迷走車
どうしてもこの道か、絶対か、何が何でもかと問いたい陽の射さぬ悪路の端は断崖である。
崖の下には小川が流れており、これを辿れば川の始まりに辿り着くかと想像するが
それより先にクルマごと川へ命を落としかねぬ瀬戸際の崖縁
無いに近い道を行くクルマの助手席で為す術はなくアシスト・グリップを握る手に力が入る。

行きつ戻りつ、対向車を睨んだり下がって貰ったり、どこかの敷地に侵入したり
迫りくる眼下の小川を追い払ったり、車内に険悪な空気が流れたりを繰り返して
緑深き地へとどうにか辿り着いた。
存分に、いつまでも現れぬネッシーを待ってみたり、向こう側に何もない吊り橋を渡ったり
棚から下がる豆や黒くて長い棒を眺めたりする。

ネッシー待ち
おさんぽ犬

黒猫に横切られるとどうとか言ったように思うが、蛇の場合には何かあったろうか。
舗装路でも蛇腹を使うに不便が無い証とばかりに、するする滑って私の前を横断していく。
物珍しさに駆け寄ると、同行者は「毒蛇だったらどうするのだ、死ぬぞ」などと怒る。
「そのときはそのとき、噛まれて死ぬならそれも詮無し」と返答して更に怒られる。

避けられる痛みは避けたいにしても、どうせ死ぬのならクレオパトラ的なのもいい。
他者の操作する暴走車で崖縁から飛び出すより
自身の落ち度が原因であるほうが、今日のところは、ずっと好みの消え方であるが
心配性のひとは「二度と蛇に近寄らぬと誓いたまえ」と我が心のポオションの吸引を試みて
シートベルトより、何かと窮屈、やはり蛇に横切られるのは運が悪いのかも知れなかった。

横切るヘビ

帰途、往路よりは随分と道らしき道を選んで走るクルマにあっても
揺さぶられっ子症候群なんてことが浮かぶくらいのヘッドバンギングに度々陥る。
かき混ぜられた脳みそは密室からの脱出のみを訴えて他を考える余地を捨て去り
残り20キロと聞いてから数分しか経っていない場所で「クルマを降りる」などと言わせる。

言ったときには口が勝手にというところがあり、厄介な寝言を吐いた気がしたが
歩き出してみれば、歩かずにいたことが不思議に感じられる。
せせらぎ越しに木立を吹く風は冷たい空気を運び、翳りがちな空とともに私を味方する。
上り下りのある10キロを超える散策は何の妨げもなく、多少の体力を使ったに過ぎぬが
家に着けば達成感のようなものさえあって、ちょっとした冒険家気分である。
充分な飲料水と薬と携帯電話が支えであったりする軟弱な冒険家なのだけれども。


大した疲労も感じずにいたが帰宅してから翌20日にかけて食欲が全くの消息不明
「貧乏人は麦を食え」などと言われても、今は勘弁、水にしてくださいってな具合である。
空腹を感じたらと暢気に構えていると身体の動きがナマケモノに負けかねぬ速度に達し
運動から数時間を経過してハンガーノックはなかろうと思いつつ
ヴォルヴィック以外のものも摂取すべきか知らんと匍匐前進で冷蔵庫前へ参る。

気付けば、扉を開けて涼んでいたりしてすっかり目的を見失っている。
犬種では無い意味で「チャウチャウ」と心の中で言ってみて、安物のハンペンを掴む。
これを焙り、味付けせずに食すと、食欲皆無の身ながら馬鹿に美味い。
妙に命拾いした心持ちになり「冷蔵庫にハンペン」を家訓にしかねぬ勢い
栄養が脳に回るまでにはまだまだ時間がかかるらしい。
と、日頃からの頭のはたらきの鈍さを、期日限定の栄養不足に背負わせてみる。
2009-08-13 21:25 更新
吊り橋
豆棚
黒くて長い棒


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