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穀潰しの踝。 [愚]

Friday , 21 august 2009 gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

内視鏡検査の日である。昨晩の夕食を最後に拵えた空腹を抱え、医者に向かう。
検査を渋るあまり愚図愚図が過ぎて、予約時間に遅刻しかけて予約時間丁度に到着の心算が
実際は1分遅れたが、1分遅れを責めるひとはなく検査中止とはならなかった。

看護師は「水を飲んで」と言っておいて、明らかに水とは異なる不味い液体を飲ませる。
「この嘘吐き男、マジ吐くって」と涙ぐみかけるのを気に留める様子はさらさらなく
「麻酔で~す、3分から5分くらいね」と粘り気のある液を口に含ませる。
3分を待たずに「は~い、出しちゃって」と麻酔が効くのか心配になることを言い出すので
「まだじゃん」と言いたかったが、喉までネバネバに占領されていては従うしかなかった。

粘液を追い払った途端「チクンとしますよ、痛いですよ」と筋肉注射を打ち
痛がる隙を与えず「あーん」と口を開かせる呪文を唱え、何かを一吹きスプレーする。
入れ歯をガタつかせたり、自分の名を忘れたり、宇宙人かって音声を発したり
看護師の指示が分からぬ芝居をする名優が多く
一番あとに到着しながら、先に来た誰よりも早く、検査室へ案内される。
彼らのほうが、いろいろと残り時間が少なそうに見えるのだけれども。

寝台に横になり、弱気になっていると、検査をしてくれるよう依頼した担当医が現れた。
「お楽しみの日がやってまいりました」とか何とか不敵な笑みを浮かべながら。
緊張で吐き気を感じたり、身体が震えたりしていて、言いたいことはいろいろあったが
「めっちゃ、びびってるんですけど」と答えるのがやっとだった。
それでも指名しておいただけのことはあって、一瞬も苦しさを感じぬまま検査は終わった。

これまでは、身も瞼も固くして、看護師からは乳児をあやすように世話を焼かれてきたが
今回は途中から目を見開き、画面に映し出される自身の胃を眺める余裕があったりして
多少の炎症があるけれども、特別問題は見られぬと自己診断を下してみたりもする。
担当医も同じようなことを言って、思った以上に冷静であった気のする私が自身で頼もしい。
亡命或いは病院の爆破を考えていたことは、すっかり忘れることにして。


午前10時半を過ぎたなら食事をとって構わぬなんて紙を受け取り、医者をあとにした。
念には念を入れ、昼を過ぎてから近所のラーメン屋に出かける。
店にはアナログと表示されぬ新しめのテレヴィジョンがあり、高校野球が映し出されていた。
画面から目を離さぬラーメン屋のオヤジは淀みなく隙間なく解説めいたことを口にする。
2点差で負けていた側が9回になって追いつく展開に
こっちの監督は男前で、あっちの監督は不細工だというようなことを熱心に語られてみても
男前と不細工が判然とせず、それが試合にどう影響するのか、私には全く分からなかった。
麺は美味いが、スウプは今ひとつ。それだけ分かった。 2009-09-02 09:10 更新

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