メートル毎秒毎秒。

Monday , 14th February 2011　　gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

パン屋には草臥れた感じの男のひとがいた。
トングだけを握り締め
大抵のひとが使うトレイを持たずにいる。
それでは買い物が不便か知れぬと思う。

そのひとは肘を曲げた腕へ食品の詰まった買い物袋を下げ
自由な両手でトングをぎゅっと掴んでいる。
両手で掴んだトング越しに熱くパンを見つめている。

眺めていたかと思うと低い棚のパンへ近付き屈み込む。
途端、腕へ下げた買い物袋は傾き
一番上にあった卵10個入りのパッケイジが床へ滑り落ちた。
ああっと男のひとの声がして、卵のいくつかはひび割れた。

男のひとは地面へ膝をつき卵のパッケイジを拾う。
油浮く整髪料らしき光を放ちながら
髪のくしゃくしゃに乱れた頭頂部を覗かせて
ひび割れた卵を拾う。

ただそれだけのことが少し悲しい。
齢を重ねたそのひとが
私の行く末を映す水晶玉に見えて悲しい。2012-03-20 21:00 更新

昨年12月、スキポオル空港で購入。
後生大事にこの日まで保管していたチョコレイト。
おあずけで期待度が増した筈だが
うまくもなんともない。

タグ：ひそやかな叫び 行く末 そうできている GODIVA