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十五匹の犬、六人の患者。 [愚]

Thursday , 24th March 2011  gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

死ぬと身体から魂が抜け体重が減る
その重さを21グラムなどと言う。
魂が実在するとして
それが抜けるとき『私』はどうなるのか。
肉体とともに滅びるのか魂とともに彷徨うのか。
生まれたときはどうだったのか。
受精卵へ魂が潜り込んだのはいつか。

一寸の虫の五分のものであれば重いような
アフリカゾウのものであれば軽いような気のする話だけれど
魂がどういうものか知らず
21グラムが軽いのか重いのか妥当なのか分からない。


私が知っているのは
生きているときには軽々と抱くことのできた犬が
死んでしまった途端抱き上げられなくなったこと。
命の消えた小さな仔犬は冷たく重く
地に固定された石像のように動かなかった。
死んだ事実とともに絶望的に動かなかった。

本当の本当に魂があって
死んだときに身体が軽くなるとしても
それは死と無関係な観察者のデータでしかない。
遺体がどれだけ軽くなろうと
身近なものの死は大抵重い。絶望的に重い。


それにしても重さで魂を証明しようという思いつき
実際に試みたらしい心意気は興味深い。
死にかけのひとを体重計へ導き
残り少ない時間を頂戴しましてと挨拶したろうか。
計量のあとは飲食と排泄はご遠慮くださいと頼んだろうか。
或いは実験台と割り切り淡々と仕事をこなしたか。


瀕死のひとを巻き込む狂人の戯言めいた試みを
羽交い絞めで阻止されなかったのであれば
実験者は信用格付けが高いと言える。
私より随分高いと言える。
そんなひとは70億人くらいいるけども。

魂147000000000グラム分くらいいるけども。2012-09-10 18:45 更新 537日遅れ

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