SSブログ

救急車はお迎え専用、そういう意味のお迎えでなく。 [愚]

思うに消防隊員や救急隊員になろうというひとは人助けを仕事に選んだ訳で
普通のひとより念入りに親切だったりするのだ。
消防署の前に手製のポスターや人形などの工作物の置かれていることが多いのも
他の公務員のひとたちが何とも思わなかったりするかもしれぬ空き時間を嫌い
啓蒙活動に励んでいたりするのではないかと想像する。
そうした親切さが感謝と困惑の思わぬ経験をさせてくれた。
もう何年も前のことである。

鼻血が出た。
いつまでたっても止まらずどうしてよいかわからない。
タオルは次々に血に染まり身体中の血が全て出るような気さえした。
止血方法を教えてもらおうと同居人が119番すると
「だったら行ってあげるよ」と気軽な返事をもらう。
家で止血してくれるものと思っていたが
いつの間にか救急車に乗り、いつの間にか救急病院へ運ばれている。
来てもらうつもりもなかったのであるが気付けば病院の診察台、救急隊員はもういない。
治療というよりは時間稼ぎに似た問診の後
暫くして鼻血は止まるのであるが医者は何をしていたのかと訝しがる。
何をしていたということもなく突然に出て止まらなかったと事実を言うが
酷く指を突っ込んだのではないか、とんでもなく興奮したりしなかったか
鼻を思い切り引っ張りはしなかったかと訳のわからぬことをくしつこく訊ねられ
嫌になるほど何度も同じ返答を繰り返しようやく解放された。
深夜、薄暗い街灯に浮かぶ病院の前に立つパジャマを血だらけにした二人組。
勇気あるタクシーが乗せてくれ帰宅した。
勇気あるタクシーの運転手はどういう訳か妙に口数が少なかった。

共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。