留守につき過去記事にておもてなしさせていただきます。

よく「おとなになったらわかる」なんて言う。
なってみてわかったこともあるけど
なったところでわからないこともまたある。

父親がひとりで家にいることはそう多くなかったが
そういうときは必ず帰宅する家族を隠れて迎えた。
いたはずなのにと探し回ると押入やタンスの中から出てきて驚かされた。
テレビの向こう側に悶絶していたこともある。
押入の上段に昇ろうとして向こう脛を打ちテレビの裏に倒れ込むのが精一杯だったらしい。
脛には大きなあざができていた。
その熱心さを不思議だなと思っていたけど
今は私も物陰に潜むことが妙に楽しく機会をうかがっては身を隠している。

小学生のある日、家に帰ると台所に麻の袋か何かに包まれた豚が一頭置かれていた。
酪農とか畜産とかそういうこととは全く関係のない家だ。
食用に買ったのだと思うが四人家族で豚一頭。
学校で同級生に聞いてみてもそんな買い物をしている家はなかった。
奇妙なことにそれを食した記憶がない。
あれは何だったんだろうと時々考えてみるけど合点のゆく背後関係は未だ見えてこない。

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