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包丁、決闘、鍛錬、長髪、充実の一時間。 [宇宙旅行への道]

四時半に起きるのは早起き過ぎないかと考えるが睡眠時間は足りている。
起き上がると気分が良くて何かしてみたい。考えるより先に散歩の支度を始める。
身一つで出かけられれば良いのであるがクスリや飲料水と持ち歩かねばならぬものがある。
それらを鞄に詰めて迷いの生じぬうちに家を出る。五時半より少し前のことである。

陸の孤島

歩くときに気をつけるのは背筋を伸ばすことと前を見ることと摺り足にならぬこと。
これはそう歩くと身体にいいとかどうとかって話ではなくて信条に近い。
背中を丸め、地面を向き、靴を引き摺る音をさせて歩くってのは好きじゃない。
思い切り疲れていることを誰かに察知させたいときは別だけども。
付け加えれば線があるとその上を歩く癖がある。綱渡りみたいに。
角は直角に曲がる。マーチングバンドみたいに。

ド田舎

日中はこの道がという渋滞を見せる道路も、トラックが多い少し車幅の広い道路も
殆ど私の独占状態で真ん中を歩いてみたりしたがさほど面白くもなく
睡眠不足のトラックドライバに撥ねられてはドライバが気の毒なのでやめる。

この一番奥に公園

歩道に戻ると柵の向こう側で突然立ち上がるひとがいてキラキラ光る包丁を持っていた。
こっちに来たらとりあえず蹴り倒しポケットの鍵で目玉を刺すくらいのことを考えたのだけど
家庭菜園で収穫しているらしかった。馬鹿か、ハサミ使えよ。と思った。

地面を入れたら頭が切れた

正面から歩いてくる男が下に向けた視線を時々こちらに上げる。
他のひとびとは皆、犬連れかトレーニングウェアなどを着込んで目的がわかりやすいが
私とこの男は普段着で他者から見たら怪しいかもしれぬ。
しかし、この男から怪しまれる筋合いはないのでチラチラ見る意味がわからない。
男は視線を落としながら、私は正面を見つつ男の顔を確かめながら、すれ違った。
五歩進んだところで勢いよく振り返ると男も鈍い動きでこちらを振り返るのが見えた。
決闘か。だったら私の勝ちだなどと思い声を出して笑ってしまうのだが男のノリは悪い。
朝から陰気クセー!と捨て台詞して去る。

バイクとパトカ

特別な用事も無く交番を覗いてみたが誰もいなかった。
掲示板と黒板で昨日は管内、県内とも交通事故死者のいないことと
何人かの凶悪犯が指名手配されていることがわかった。

ボロいパトカ

道を隔てた公園にはママチャリで来た男がベンチで休んでいた。
その脇を通って奥にある遊具まで行く。
直径20センチくらいの柱が立ててあり
その周囲にデカイきのこといった感じのものが高さを変えて配置してある。
柱につかまり、きのこの上を歩く遊び道具のようである。
時計回りで二周、反時計回りで同じく二周してみるが面白さがわからない。
回転中、目の端にママチャリ男が何?って具合に二度見したのが映った。
安心しな、遊具の点検だって。

て訳で、ブランコ。宇宙旅行に備えて乗り物酔いを克服せねばならぬので三半規管の鍛錬。
八十回漕いで結構体力いるなとか思って、あとは慣性の法則か何かで合計百回揺られた。
木立の間から見える空は灰色でブライトライトフライトな私にはちょうど良かった。
鞄からボトルを出して水分補給。
直ぐに立つのは目眩がしそうで「千年メダル」を歌う。何でか知らないけど。
二回歌ったところで歩道を歩く長髪を見つけた。長髪には弱いので走る。

「おはようございます、写真撮ってもいいですか」「この子だけなら」
「はい、それじゃ失礼して」なんてことで一枚。
「触ってみる?」と聞かれて「いいんですか」と触る気でいたのだが
「まだ、お誕生前で人見知りする」と言われ無理に触るのは悪いと思いやめた。
人見知りされないと人類では無いのがバレるって心配があったのかもしれない。
「ポアロ」と名前を教えられ「やっぱり」とエルキュールとの関連を聞こうとしたら
「そう、アフガンハウンド」と別の答えが返ってきた。
「他に二頭いて、合計三頭」とか「一頭に六畳ずつの部屋」なんてことも教えてもらった。
ポアロはすごく可愛くて、一緒のひともすごく親切だった。
「バイバイ!」と別れてから、私の弱い長髪は人間だったなとか思い出す。

ポアロ氏

来た道を戻る。対向して来るひとびとは、やはり地面を向いて歩いている。小銭探しか。
衝突せぬよう正面を見ている私が避ける。
家を出たときは肌寒さを感じていたが全身が温まり気分も良い。
もう家も間近というところで見知らぬアミイゴに会う。
彼は正面を見ており、やっぱ挨拶したほうがいいかなと思う。
「オラ」とか「チャオ」なんて言うらしいのは知っているが私は日本人だしなどと思っていると
「オハヨゴザイマス」とか妙な日本語になってしまった。
アミイゴはくすっと笑って丁寧なお辞儀をした。
コメント(10) 
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コメント 10

セス

2年前の夜から比べたら、雲泥の差だね。
やったね、でも無理は、禁物だよ。
ぶり返したらアホだぞ、慎重にね。
しかし、何処の風景も似たような物だね。
家は田舎だけど、町の方に行くと、ありそうな風景だもん。
あの犬は、あまり見ないけど、チョット毛深い白髪のおっちゃんが
四つんばいになってるのかと思った。
by セス (2008-06-25 22:26) 

セス

ひね、やったじゃん。
2年前の夜から比べたら、雲泥の差だね。
でも、焦りは禁物だよ、ぶり返したらアホだよ。
ひねの家の周り見た事あるような風景だなぁ~。
何処も同じようなんだね、しかし、子供の探検紀みたいで
可愛いいんだけど、後、あの犬は、チョット毛深い白髪の
おっちゃんが、四つんばいになったみたいだね。
by セス (2008-06-25 22:38) 

8732

凶悪犯が指名手の掲示板に僕の顔がのってたらうけるのにねw
by 8732 (2008-06-25 22:59) 

hinemosu-bomb

セス、こんちは。
ここは陸の孤島と呼ばれる田舎だよ。
渋滞の通勤時間の無駄を省くため移住してきた。
仔犬だからちょっと違って見えるけどアフガンハウンドだって。
四つんばいのおっちゃん追っかけて写真撮らないよ。
チョットって毛深さ超えてるじゃん。ゴリラのマラソン並みだよ。
ぶり返しはアホだってわかったけど、繰り返しは親切だよね?
by hinemosu-bomb (2008-06-26 12:52) 

hinemosu-bomb

セス、やったよ!
これまでと違うのは耳塞いで音楽聴いてないとこ。
外にいても自分の世界から出るのが怖かった。
けど、今回はひとりで散歩していることを意識してるのに
逃げ出さなかった。その辺は大きいと思う。
少し行くと山や川があるから探検紀の続きが書けるかも。
んー、何か、デジャヴ。
by hinemosu-bomb (2008-06-26 13:01) 

hinemosu-bomb

8732君、載ってたよ!知らなかった?
ウケルとか言って笑ってたけど逃げてないの?やばいって。荷物まとめて。
by hinemosu-bomb (2008-06-26 13:06) 

teketeke 或いは日なたで猫

前を見て歩くの信条てのがイイねぇ
そういや、3日ほどウォーキングサボってるわw

早朝の散歩はやってみると、富士山登頂の様な清々しさに近いかも。
(富士山登ったことも無いケドw)ヾ(-д-;)
by teketeke 或いは日なたで猫 (2008-06-26 14:19) 

hinemosu-bomb

teketekeさん 或いは日なたで猫 さん、こんにちは。
徹夜でウォーキングは無理でしょ。サボったうちに入らない。
早朝の散歩はほんと気分いいですね。
面倒と感じぬ程度に癖になったらいいな。
きっと富士山登頂のような清々しさだと思う。
五合目までクルマで行っただけだけど。
by hinemosu-bomb (2008-06-26 14:32) 

8732

なぬ~やっぱ載ってましか。にげろ=3
by 8732 (2008-06-26 17:43) 

hinemosu-bomb

8732君、身に覚えがあるのか?子猿を装って安心させたな!
猫かぶるなら聞くがチンパンジーかぶるなんて聞いたことないよ。
by hinemosu-bomb (2008-06-26 20:39) 

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