海底の難破船、日に二度光る。

Monday , 20 apr 2009

ひとに誘われ、通勤時間帯にファストフード店に行く。
出勤前らしきひとびとは皆、刺々しい口調で百円の珈琲を頼み、忙しなく煙草を吸う。
どんな事情があるか知らぬが、世界中の困難をひとりで引き受けたような顔をして。

これから仕事だというときの気分が爽快なものばかりでないことを知っているが
軟弱な私であっても無関係なひとびとの前では鼻歌を歌うくらいの安っぽい意地はあった。
皆が皆、揃いも揃って、そう切羽詰まった様を曝してどうする。
百年に一度の不況だとか言って、気概すらデフレか。

そこにいる誰よりも気楽な暮らしと言われればそれまでであるが
このところ行く先々で特に落ち度のない店員等に八つ当たり気味な光景を目にしており
何とも荒んだ心のはびこっていることに、気分悪いわくらいのことは感じていた。

「仏頂面ばっかだよ、０円のスマイルも頼めばいいじゃん」と誰にともなく言った。
「なるほど」とも「うるせぇ」とも反応はなく
ただ、近くのひとが煙たそうな顔をこちらへ向けただけである。
実際、煙草を喫しているのは彼らであって、煙たいのは私なのだけれども。

2009-05-24 00:30 更新
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