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目を閉じて、暗闇を守る。 [愚]

Wednesday , 23rd December 2009 gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

中学二年、冬休み明けのことである。
校舎と校舎を結ぶ渡り廊下で国語教師に
仕上げた冬休みの宿題を提出できぬと打ち明けた。
新学期前夜に妹がワークブックを粉砕して。

国語教師は「見え透いた嘘だわ」と言った。
見る影もなくボロボロになったワークブックを見たとき
私も嘘だと思ったが、嘘ではなかった。
「嘘ではありませんが、信じて貰えなくても構いません」と言う。

そのときになって教師は「あ」という顔をした。
端から疑ったことを悔やみ始めたのかもしれない。
それから「寒いでしょう」と言って両手を伸ばし
私の冷たい頬を温めようとする。

見え透いた関係修復だと思いながら
国語教師の両手に押されタコのように突き出た口で
「いいんですよ、先生」と言った。
間抜け面にされながら私は対等の立場のつもりでいる。

教師はゆっくり両手を引っ込めると困った顔をするので
「チャイムです、先生」と言ってその場を去った。
代わりのレポート追加くらいあると思っていて
そうした方向へ話が進まなかった幸運を祝して。

妹がワークブックを粉砕した理由は分からない。
この頃の私には理不尽なことがやたらにあって
いちいち追究する閑も意欲もなかった。 2010-07-17 02:15 更新

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