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口遊み、お慰み、板挟み。 [愚]

Wednesday , 9th June 2010  gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

知己の住む集合住宅、階下の部屋に暮らす男は
そこにいる殆どの時間を歌って過ごす。
全てのひとりごとは何かしらの調べにのせられる。
そう書くとミュウジカル的な図が浮かびかねぬが
極めて狭い幅で音を探る呪文テイストな歌声は
洞窟で蝋燭を灯す怪しげな儀式じみて
明るくあろうと暗くあろうと私的にはミュウジカリイでない。

歌うひと皆が皆、ミュウジカルを気取っては
不必要に芝居がかって、それはそれで面倒に違いなく
好きなように歌う自由は万人の利益と言いつつ
知己宅床下から床板越しに呪文が耳へ届くと
ふざけるな、馬鹿野郎。なんて気持ちになったりする。
ちょいと、そこへ座りなさい。などと思うだけ思う。

歌なんかは目指す音があってのものではないだろうか。
背伸びしたり飛び跳ねてみたりして思い描くものに手を伸ばす
そんな具合に目指す音色の声を発するから心地よいのであって
闇雲に唸ってひねり出す声は手が滑って鳴らすクラクション
ちょっとした公害という点において等しく迷惑なのだよ。

もっとも連なる放置自転車のベルの音を知らずに
それぞれのそれを片端から鳴らしてみたくなる私は
理想目標の調べ無き歌であっても
そこに情熱があれば許せぬこともないのだけれど
呪文野郎のそれは弛緩しきっている。

口、毛穴、鼻孔、耳孔など何であっても
人間の穴が緩んでよかった例はないのである。
どの穴からであろうと
何かが無意識にだらだら漏れる感じで。 2010-08-11 02:00 更新

手水舎。


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