回り続ける観覧車。

Saturday , 26th March 2011　　gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

コロの次の犬はコロと暮らした家を離れてから来た。
引越し先で暫く過ごしたある日
父が柴犬のこどもと秋田犬のこどもとドーベルマンのおとな
一遍に三匹の犬を連れ帰った。
面倒を見られなくなったひとから三匹まとめて引き取ったと聞く。
柴犬は私が秋田犬は妹がドーベルマンは父が世話係となった。

柴犬の名はコロで
コロの次に来た犬はやはりコロなのだった。と言っても
柴犬に名を付けたのは私で
コロの前にコロなくコロの後にコロなしであるのに
コロよりほか何も思いつかなかった。
世話係はじめの一歩から躓いた感がある。

ドーベルマンは元いた家でくまと名付けられていた。
ドーベルマン然とした見た目に不釣り合いな気もしたが
「くま！」と呼べばささっと駆け寄ってきて
自分がくまであると知っているらしかった。
中途で家族が変わる経験をしても人懐こかった。

秋田犬は目がくりくりと丸く身体がぷりぷりと丸く愛らしかったが
こどもの秋田犬は概ねそんな感じだと思う。
後々どこかで見聞きした秋田犬の情報が紛れ込んでいるか知れぬ。
もっと個体特有のことはないだろうか。
考えてみれば名前すら思い出せない。

馬鹿な、名前を忘れるなんて。
他に抜け落ちた記憶はいくらもあるのにどうにも気になり
１ピース足りぬパズルのように歯痒い。
掻いても掻いても痒いところの逃げる苛立ちに塗れる。

秋田犬は妹が名前を付けたのだった。
思い出せぬなら妹に訊けばいい。
少し気持ちが楽になって妹に訊くと
糞が酷く臭かったこと以外何も記憶にないとの返答で
妹もまた、秋田犬の名を憶えてはいなかった。
三匹と一緒にいた時間は短かったし妹は幼かった。
仕方ない。


痒いところを掻こうとして掘り出してしまう
糞の臭いことだけを思い出とされる犬。2012-09-19 15:55 更新 544日遅れ

タグ：名前 三匹の犬 記憶 思い出 そうできている