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圧下蓮子と様田烏賊子と [町田さん]

実録・外道の条件

実録・外道の条件

  • 作者: 町田 康
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本
午睡から覚めたのは郵便配達員がクレジットカードを持って来たからである。
私のようなものでもこうしたものを持つことができる、格差社会も大したことない。
というのは目覚めたばかりで普段より一層ぼんやりしてのカン違いに決まっている。
良いところで起きた。出版社に電話しようと思っていたのだ。
小説の登場人物の名を読むことができずにいて、長いこと我慢していたのだが
どうにかすっきりならぬかと浅知恵を絞ると「出版社に訊くのが良い」と閃いた。
疾うに気付くべきことを閃いたとは情けない話である。
情けないのは今に始まったことではないのでさっさと電話してみる。
奥付にあった編集部の番号へかけるともう質問して構わないという
役所などとは違った盥回しの無さに心の準備も整わぬままって準備など要らぬな。
とにかく訊いた。寝呆けていたので細部は判然とせぬが概ね誤りは無いと思う。
「町田康さんのご著書ですが、登場人物名の読み方を教えていただくことはできますか。」
「正確な読み方となりますと作家本人にあたるしかないのですが。」
「しかし、私が直接お訊ねする方法は無いのです。」
「それはそうですね。編集部宛てに手紙を書いていただければ作家に届けます。
それに答えるかどうかは作家本人でないとやはりわかりませんが。」
「わかりました。どうもありがとうございます。」望み薄っ。
大抵、読み難かろう名にはルビが振ってあるものであるがそれが無い。
これは編集担当者が作家を怖れて確認しなかったのだと、勝手な想像だが強く思う。
この作家の目の放つ光は鋭く突き刺さるようで
問われもしないのに生まれてからの悪事の全てを白状してしまいそうな
その前に立つことが畏れ多いような途方も無い力を帯びているのだ。

インチキは皆、見透かされている。

尚、私が電話をしたのは文庫本を出版している株式会社角川書店さんである。
実に丁寧な対応をしていただいたと感謝している。

実録・外道の条件 (角川文庫)

実録・外道の条件 (角川文庫)

  • 作者: 町田 康
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 文庫


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