太陽の、六角形の、スパングル。

Friday , 4 september 2009 gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

瓶詰めの蜂蜜を眺める。他のすべきことを後回しにして、眺める。
赤シャツ２足歩行のクマと何の関わりがなくとも、蜂蜜に浸かりたい心持ちである。
フロリダのオレンジの花から採ったという蜂蜜は、かすかにその果実の色を帯び
揺らした瓶の中で少しも動かぬ巣の欠片と蜜は、虫を閉じ込めた琥珀に似ている。

陽に翳し、逆立ちさせ、手のひらで転がし、あらゆる方向から眺める。
琥珀にしては透明さに欠けるが、静謐な様は見劣りせぬ。
美しいと言っては言い過ぎなのだけれども、そう遠く離れてもいない。

特別な何かを手にした気がして、蜜を集めた蜂とオレンジの花を思う。
思い詰めるほどに思ってみるのだけれども
蜂も花も、その形、色、大きさ、何をとっても判然とせず頼りない。
８の字に飛ぶのでしょう、蜂なだけに。と言うと、更に空しい。
悪い、何も知らずに、あなたがたの大切かもしれぬものを奪って。

　　

しんみりしたのも束の間、これは確かに眺めるにいい代物だ。
しかし蜂蜜はトーストなんかに塗りたくるって愉しみ方もあるではないかと思い立つ。
こんがりを少し通り過ぎた感のあるところへ、オレンジの蜂蜜、どうだ。蜂の巣の欠片付き。
ああ、腹が減ったかも。トーストいいかも。はちみつ、カモーン。と思う。強く強く思う。

ここで突如、後回しにしなかった一大事業が目の前に立ちはだかる。
部屋の中には炊きたての飯の匂いが漂っているのである。
蜂蜜を眺める前に、米を研いだり、水を吸わせたり、炊いたりしていたのだった、私は。
米はやはり、精米したての炊きたてだよね。
だからって蜂蜜をのせてはいかんよね。蜂の巣、然りだね。

泣きそうになりながら、黒米、赤米、緑米の覗く飯を混ぜる。
どれが黒で、どれが赤で、どれが緑か分からぬまま。　　 2009-09-08 14:00 更新

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