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濁る水面を滑る花。 [愚]

Sunday , 2nd May 2010 gremz 自然破壊 森林破壊 大気汚染 オゾン層破壊

この地への往き来には小倉を通る。
「とうとう来てしまった」とか「いよいよ帰るぞ」と思う場所で
私にとって小倉は魔境の門でしかなく何も知らない。

頭が・・・。

数か月前、小倉でタクシーに乗った。
運転の荒い、話し好きな運転手の操る
揺れの激しいタクシーである。
運転手がこれと言って特徴のない山を指して
「あれが安部山です」などと言うので
「はあ」と聞こえるか聞こえぬか構わぬ感じで返事をした。

運転手は安部山の話を続けたいらしく
「山の天辺に靄が見えるでしょう」と粘るのだった。
見れば山を覆い尽くす大きな雲という具合に
靄と言うには濃いくらいの陰鬱な被り物をしている。
「安部山はいつもあんなです」
湿気が多くて煎餅屋が出来ぬなんて話だろうかなどと
靄の覆う山を眺めたまま思った。

「B-29が来たときもですよ」と言われ
煎餅屋は見当違いと知る。
運転手がしたかったのは視界を遮る安部山の靄が
小倉を原爆投下から救ったという話だった。
運転手は得意気であったが
やはり「はあ」としか返答のしようがなかった。

代わりに長崎が爆撃されていて。
2010-07-04 00:00 更新 / 2010-07-06 21:45 追記
花の行くドブ川がキラキラ光りやがるのだ。


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