人生はくる日もくる日も無観客試合

Thursday, 4th May 2020

じゃんじゃん捨てる捨ててやると張り切ってみても洋服を捨てるのは難しい。古びていれば思い出があるように、新しいなら着る機会があるように、新しくも古くもなければ部屋着や雑巾に使えるように、思ってしまう。そんな感じで愚図愚図やって、どうにかゴミ袋ひとつ分のゴミを捨てた。(処分済み11/500)

散歩へ出るのが十時に近かった。遅いからか暑いからかその両方か別の何かかわからないけれど、家を出て二分歩かぬところで白犬が地べたへ張りつく。五分くらい短く歩いて帰るつもりでいたが、もう梃子でもと踏ん張り先へ進めそうにない。じゃあ帰ろっかと言うと家へ向かい歩き出すも玄関を通り越して行く。ずんずんクルマの前まで行くと、じっとクルマを見つめたあと、振り返って解るよねという顔で私を見る。
解るけど心の準備が出来ていない。クルマはクルマで暑いですよ、エアコンが利かないかと思われますと言ってみたけれど、無駄だった。私が原因で出遅れた訳だし、処方箋と薬を引き換えていないし、隣町の薬局へ行くことにした。片道9kmくらい。何が面白いのか、犬はご機嫌。

薬局へ処方箋を出してから財布に紙のお金が二枚だったなと思う。狭いのにバッファローの大群並みに自転車が通るよでお馴染みの歩道を通ってコンビニエンスストアへ行き、財布のお札より一桁多い紙幣を二枚引き出した。歩道はバッファローが絶滅したかの静けさだった。薬の代金は3110円で、下ろしてよかった、支払えた。カードなど幾つか選択肢があれば便利だけれど、もう長々と通っていて、支払い手段の違いくらいでほかへ行く気にならない。と言って、薬剤師のひとりとして顔も名前も覚えていないけれど。

その点、同居人なんかは茶目っ気みたいなものが有り余る感じで、例えば私の通院先で私が陰で｢チェ｣と名付けるだけ名付け視線も合わせない男性と｢やあ!｣とか｢おー!｣とか手を振り合うなどしている。
いつかチェが両手いっぱいに荷物を抱えているとき帽子を落とし、それを拾って彼の頭へ被せてあげて以来そんな感じ。私も拾うくらいはするけど、被せたりはしない、荷物の上へ載せるとか。
彼はいつもゲバラのTシャツを着ていて、風貌も寄せて髪も髭もそれ風だし、帽子もそう。それをそれらしい具合に被っている。ちょっと何を考えているかわからないし、当然強面でもある。遠慮なくその頭へ帽子を被せ、よき位置に整えるみたいなことを私はしない。まあ私自身、ひとから何を考えているかわからないと言われ続けてきたので、そういう人間に慣れているのかもしれないけれど、全くせずに済むようなことを何も考えずに出来るのはいいなと思う。

薬局が終わり、帰るなら駐車場を右折だが、来た道を戻っても面白くないので左折する。これは散歩のときによくある思考。折り返し地点を戻るようなことは嫌いで、可能な限り違う道を選ぶ。違う道を優先するばかりに家をどんどん離れ、流浪の民になりかけたことが幾度もある。
運転には慎重であるべきなのでそう無茶も出来ぬが、左折して行くあてはあった。過日入店を諦めた農産物直売所へ行き、おこわ、薄皮付き落花生、紫玉葱、きゅうり、キャベツ、小松菜、卵、ガーベラ、デルフィニウムなどを買い、2404円使う。

おこわにはイカとか筍とか主だった具材の名が書かれているのだけど、私が買ったものには山菜と人参とこんにゃくなどが入って、ピリ辛と書いてある。山菜と人参とこんにゃく、そのままでは長いし、主役を選ぶことが出来ない、という悩みがあってかなくてか、ピリ辛。そして食べると心持ち辛いかもという感じなので釈然としない。美味しいからいいけど。

正午を過ぎて帰宅。犬に豚肉とツナとキャベツときゅうりに魚ベースのドッグフードをあげた。私はツナとキャベツときゅうりにマヨネーズと胡椒を混ぜたものとピリ辛おこわとオレンジジュースを食べたり飲んだりした。

十八時半から四十分くらいかたつむりの歩みで散歩した。時間の問題か、角度の問題か、私の何かの問題か、月が全然ついて来ない。何度見上げても遠い。

夕食に犬にはお昼と同じものをあげた。私は納豆と紫玉葱と胡麻のスパゲッティを食べた。二十一時過ぎにアイスクリーム(白くま)を食べた。甘いお菓子とその匂いが大好きな茶犬が鼻をくんくんさせたけど屈せずひとりで食べた。

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